幕が上がる 豪華版ブルーレイ
web検索してたらこれの存在を知り、特典ディスクの充実ぶりにハートを射貫かれ数日悩んだ末、昨日地元ビックカメラで購入。ちなみにポイント還元を考慮しても約6000円と結構な高額品。
で、収録タイムを確認したら劇中劇の銀河鉄道の夜が50分近い。その他の劇中劇はせいぜい5-10分程度なれど、これだけは全編収録されてるのね。本編ではそれなりに脚色されてる設定だから、これは原作本と宮沢賢治のオリジナルを読んでから観た方が良いと判断して保留。
それより何より未使用シーンが良い。例えば吉岡先生が初めて生徒たちに演技を披露する美術室のシーン。本編では抜粋され、更にヒロインのモノローグが被ってるので黒木華嬢の鬼気迫る演技をナチュラルに堪能する事が出来ず、かなりの不完全燃焼。それはライムスター宇多丸氏も指摘してるし俺とて同意見なれど、ここではノーカット、モノローグ無しで観られる。
あと生徒たちの稽古風景を約10分の長回しで捉えたカット。これは当初から良い箇所だけを抜き出す為に撮り続けただけの長回しなのかもしれないけど、これだけ観るとカメラが動き回る事を除けばアンゲロプロスの長回し並に緊迫感があり圧倒される。
前記2例に触れた際、この映画のもう一つの可能性を見出す。仮にこれらのカットがそっくりそのまま本編に使われる類の作風だったとしたら、うるさ型のシネフィルをも唸らせる大傑作に成り得たと思う。但し、それは大衆の支持を取りこぼす結果になりかねない。ここが映画の難しい所で、アートには違いないものの興行収入こそが最重要課題だから時に芸術性をかなぐり捨てる必要もある。
全編に渡るヒロインのモノローグなんか正にそう。あれがなくたって映画は成立する・・けど、大衆を引き込む分かり易さを目指した場合には必要。クライマックスの蛇足としか思えない各著名人の特別出演も同様で、非難すべきは上層部の政治的要素であり監督だけを悪者にすればいい話じゃない。これ、僅かばかり映画業界に片足を突っ込んだ作り手サイドの意見ね。
いずれにせよ、ちょっと高い買い物だったけど得る物も大きかったので後悔してない。ちなみに今は本編のコメンタリーを堪能中。
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