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webで得た情報によるとホラーテイストの作品という事なれど実際に観ると全然違う・・ と言うか、確かにホラー的要素も含まれてるけどそれが主軸ではなく、前作あれから同様に3.11の余波を描いたミステリアスな心理劇と言うべきか・・ ちょっと説明が難しい。
未曾有の震災が被災者のみならず不特定多数の人々の深層心理にまで及ぼす爪痕を描いた作品なので、そのテーマ性を語る必要があるんだろうけど俺はむしろ映像表現の部分に陶酔させられたので、そちらの話がメイン。
いわゆる夢オチという言葉がある。主人公が壮大な冒険物語を演じた末にふと寝床で目を覚まし、あれは全部夢だったんだ・・というありきたりの結末ね。昔は斬新だったんだろうけど今となっては非難の的にされても仕方なく、俺自身こういう結末に触れると真摯に作品と向かい合ってたら最後の最後にな~んちゃって!と茶化された気がするので夢オチってイマイチ好きになれない。
しかしながら、この通俗的な手法を巧みに応用した傑作も数多く存在する。ザッと思い付いた作品を列挙するとルネ・クレール監督の夜ごとの美女、押井守監督のうる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー、クリストファー・ノーラン監督のインセプション、あと佐々木浩久監督作で高橋洋さんがシナリオを書いた血を吸う宇宙も同一線上か。
これらの作品に共通するのは夢オチの多重構造。あ! 今までの事は全て夢だったのか・・と思ったらそれもまた夢。これが繰り返し描かれる事で現実と虚構の区別が付かなくなり、ある種のトリップ感が生まれる。
口で言うのは簡単だけどこれを具体化するのは非常に難しい。しかしながら図書室の分身あたりから始まるドッペルゲンガーと夢の連鎖は特筆すべき巧みさ。もし当サイトを若き映像作家志望が出入りしてたら声を大にして言うけど、映像演出の良いお手本となるので絶対に観ておくべき。
個人的には登場人物の語りをひたすらクローズアップで捉えた演出と役者陣の演技(表情)がハートを貫く。そういった演出を含め心理学に精通したスタッフが存在するんだろうなと思いつつ帰宅後パンフを確認したら篠崎監督って学生時代に心理学を専攻してたのね。現代心理学教授という事は勿論知ってるけど、これは全然知らなかった・・
なお、今後の上映スケジュールは公式サイトで確認可能。興味を持たれた貴兄には是非一度ご覧いただきたく。
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