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2016年10月18日 (火)

野菊の墓

今月もよく邦画を観てて、昨夜は5月にWOWOWで録画した澤井信一郎初監督作品にして松田聖子初主演作でもある野菊の墓を再見。しかしWOWOWの私を映画に連れてってというコンテンツは80年代のアイドル映画を定期的に放映してくれるので実に魅力的。

俺が初めてこの映画を観たのは確か20歳で、重度のハスミ虫だった頃。蓮實先生が著書で絶賛してたもんだからレンタルビデオか、たまたま放映されたテレビ放送だかを観て分かった気になり友人知人へ傑作だ傑作だと触れ回った。・・けど、正直言えば当時は真価を掴みきれず、言動の全てがポーズだった事を白状しておく。

あれから約30年の歳月を経て見返すと、例によって酒の影響もあるけど中盤以降アホみたいにダーダー泣きながら鑑賞。もう、ポーズじゃなく心の底から傑作だと言い切るよ。

ちなみに若き日の俺が何故この映画に乗り切れなかったのかと言えば、主役二人のたどたどしい演技がネックになったから。今の俺に言わせれば青いとしか言いようがない。そんな小さな事に囚われて作品全体の真価を見落とすとは青い。青いよ。

少し前にも書いた通り、webを見渡すとこの映画に限らず役者の演技や特撮のアラに難色を示す人が凄く多い。でもねえ・・ そういう事はシネフィルなら想像力と努力で脳内補完するんだよ。その上で乗れなければ仕方ないけどさ。

俺、自宅でBD&DVDを観る時はながら鑑賞が多いのに、この映画はホントに画面から目が離せなかった。多方面で語られてる通り美しい情景が幾度となく映し出されるんだけど、それが単なる情景カットではなく登場人物の心情を表現してる。言葉じゃなく映像で描かれるからよそ見してる場合じゃない。

前記の演技に関しても、そのたどたどしさを魅力に転化する様々な仕掛けが用意されてて溜飲を下げる事の連続。後にWの悲劇でもふんだんに活かされる演出法がこの時点で炸裂してるわ。

ちょっとwikiで調べたら澤井監督ってこの30年間で13本しか撮ってないのね。しかも、うち8本がいわゆるアイドル映画。確かにアイドル映画の達人である事は認めるけど、不当な扱いを受けた名匠という印象を否めず。

とは言え未見のモー娘。関連2作品がやはり高評価なので、ちょっと気になりTSUTAYA DISCASでレンタル。数日後に届く筈だから私的澤井アイドル映画大会を催そうかと。

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