生涯No.1の傑作カット
何がキッカケになったのか忘れたけど昨夜からミュージカルモードへ入り、手持ちライブラリーの様々なミュージカル作品を再見。ザッと挙げるとラ・ラ・ランド、ダンサー・イン・ザ・ダーク、嫌われ松子の一生、リトルショップ・オブ・ホラーズ、ジーザス・クライスト・スーパースター、ロシュフォールの恋人たち、シェルブールの雨傘、バンドワゴン、雨に唄えば等々・・
勿論、全編観返す余裕は無いので好きな楽曲部分のみ抜粋。こういう鑑賞スタイルなら悪名高きダンサー・イン・ザ・ダークも普通に堪能出来るので好都合。しかし改めて観てもラ・ラ・ランドのオープニングは最高だし大好きだけど、ロシュフォールの恋人たちのキャラバンの到着には到底及ばない。ダンスのシンクロ度も撮影技術も絶対的にラ・ラ・ランドの方が上だと言うのに。
結局、本家の貫禄なんだろうな。ロシュフォールなくしてラ・ラ・ランドは存在し得ないという映画史的事実が揺るがぬ師弟関係を形成する。若きシネフィルだと違ったりするのかも知れないけど俺みたいなオールドタイプにとっては崩れない、崩しようもない。憶測だけど制作サイドも似たようなスタンスじゃないのかね。目的は超える事じゃなくオリジナルに近付く事、寄り添う事であると。
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話は変わって表題の件。俺とて何千本もの映画を観てきた自称シネフィルだから心に残る映画の傑作カットをひとつだけ選出せよと問われれば無理!と答えるけど、こめかみに銃を突きつけられ選出しないと殺すと言われたら高確率で選ぶであろうカットがこれ。
シェルブールの雨傘・第一部のラストカット。兵役で離ればなれになる恋人達の別れを描いたシーンの長回しで、少なく見積もっても3000回は観返したか。昨夜も30回ほどリピートしたけど、何100回観てもギィが乗った瞬間に列車が走り出してる。
映像を見る限り早朝の撮影と思われるので、恐らくは深夜に何度も何度も何度もリハを繰り返し、本番では男優が列車に乗る瞬間と列車が走り出す瞬間をシンクロさせるため現場に大音響でカウントダウンを流してる筈。何テイク繰り返したのか、或いは奇跡の一発OKなのかは知る由も無いけど、僅かばかり映画制作に携わった経験者として言わせて貰えば、これはもうあり得ない程に完璧で、存在する事自体が奇跡的なカットなのだ。
シェルブールの雨傘は全編通して完璧な映画だけど、このカットは完璧の上を行く完璧さ。それを映画史に刻んだという事実だけでもジャック・ドゥミは殿堂入り確定。こんな事を書いてたらまた観返したくなったので、問題のカットだけ20回ほど再見しようかと。
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