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2018年12月12日 (水)

GAMBA ガンバと仲間たち

この作品の情報がwebで公開された時は非難の声しか聞こえず、俺とて東京ムービー制作の大傑作ガンバの冒険の熱狂的支持者だからキャラの画像を観た時点で当時はスルー確定。

先日この作品がWOWOWで放映され、観もしないで非難するのは違うと思い予約録画し昨日鑑賞。うん、思ってたより全然よく出来た和製ピクサーとも言うべきフルCGアニメの良作であった。

しかしながら東京ムービー版とは比較にならない・・と思ってしまうのは世代故か。あれを観た事がない若い世代ならこのフルCG版でも充分に楽しめたりしちゃうのかな~と少し思ったりして。難を言えば白イタチ・ノロイが何も悪い事をしないまま終わっちゃうので悪役として弱過ぎる事か。

同世代には説明不要だけど東京ムービー版のノロイはTHEワル。もうワルの中のワルとも言うべき存在感で、これに匹敵する悪役と言えば漂流教室の関谷ぐらいしか私的に思い付かない。もう悪過ぎて惚れちゃうレベル。上映時間の制約があるとは言え、もっともっと悪い事してその存在感をアピールして欲しかった。

そんな幾つかの不満点を払拭する為に東京ムービー版のDVDを引っ張り出してきて再見。これはもう仕方ない事だけど、やっぱりフルCG版と格が違う。思い入れ分の奢りは否定出来ないものの、とにかくソウルが桁違い。もう意味が分からない程ハートに響く。

こういう時に観返すガンバのエピソードは決まってて、第15話の鷹にさらわれたガンバと第23話の裏切りの砦。この2エピソードは日本アニメーション史上でも頂点に君臨する大傑作で、俺の中では宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダム以上に重要と言っても過言じゃない。

特に裏切りの砦はねえ・・ もう観る度に魂を揺さぶられ過ぎて脳内グチャグチャ。普段はクールを決め込むイカサマが徹底的に感情を露わにするエピソードで、降りしきる雨の中、裏切り者太一を泣きながら殴り続けるシーンは今観ても動揺する。感動ではなく正に動揺。

裏切り者にはそれなりの訳があった。しかしながら大切な仲間を死へ追いやった奴を許す事は出来ない。そのイカサマの中で渦巻く複雑な感情が観てる此方にもひしひし伝わってきて胸を締め付けられる。

以前、何かの雑誌で読んだ出崎統監督の弁によれば、このエピソードの要は雨なんだと。確かにこのシーンが炎天下で描かれたら今ほど魂が揺さぶれる事は無かったと思う。何たる発想力。そして演出力。そりゃ大枚はたいて現在にフルCGで甦らせたって勝ち目ないよ。

ただまあ、東京ムービー版と比較さえしなければ良作なので若い世代へはお薦め出来るかも。そう言えば2009年公演のミュージカル版では愛しのSU-METALこと中元すず香嬢が潮路役を演じてたりする。な~んか、こういう偶然の一致を知ると勝手に運命的な物を感じてしまう。

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