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2019年6月19日 (水)

万引き家族

世界を唸らせた日本映画の感想シリーズその2は是枝監督の万引き家族。これがカンヌのパルムドールってのはちょっと意外な気がした。そこが主題ではないにせよ主要キャラが犯罪者の作品なので。ただまあ、過去には人殺しが主人公の作品も多数受賞してるから問題視する方が不自然なのかも。

タイトルが示す通り万引きを繰り返す家族の物語で、これをどうやって家族愛に結び付けるんだろうかと思いながら観ていくと、確実にそこへしっかり落とし込まれてる。但しカタルシスとかそういう単語とは無縁で、観る者に大いなる問いを残しつつドロリとした雰囲気のままエンドロール。

ネタバレになるから具体的に書かないけど、ラストのあのシーンなんか70年代の映画・ドラマだったら間違いなく振り返って窓を開けるなり何なりのアクションを起こす筈。是枝監督はそういう安心感を観客へ与えるような気の利いたマネをしない。だからこそダーク&ヘビーながら心に残る。久々にズズズンと来る作品に触れた感じ。

例によって世評を見渡すと犯罪美化とか言って非難してる人がチラホラ見受けられてるけど全然美化されてないじゃん。でもまあ、そう感じた人にとっては美化なんだろうから捉え方は人それぞれって事で言及を控える・・つーか、受け手によってはあれが美化という解釈になるんだ。逆にそれが何とも不思議。

個人的に一番印象的だったのは家の汚さ。もう、画面を見つめるだけでむせ返るような悪臭が漂ってきそうで凄まじい。物語展開や役者の演技も勿論大切だけど、映画ってのは視覚芸術だからああいう舞台背景のビジュアルが最大のキモだったりする。小綺麗なマンションの一室じゃ映画が成立しないからね。そういう点で美術スタッフの仕事ぶりは本当に素晴らしい。

実は俺、これまで是枝監督作は誰も知らないしか観てなかったんだけどWOWOWで放映された13作品を全部録画したので、何処かのタイミングで俺的是枝監督大会を開催しようかと思ってる。

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