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2020年8月16日 (日)

半沢直樹とサスペンス理論

酒飲んじゃったし外は暑いし、外出する気にならないので先週までの半沢直樹をまた部分的にリピート。このドラマ、勧善懲悪物や紋切り型としても魅力的だけど、サスペンス物として非常に優れてる事が観返すとよく分かる。

そして放映直後にSNSを覗くと揚げ足取りたがりの突っ込みで埋め尽くされるのもこのドラマの特徴。但しそのほとんどが後出しジャンケンで、サスペンスドラマとして如何に優れてるかを裏付けてたり。

実際、先々週のハッキングのエピソードなんか多方面で指摘されてる通り矛盾だらけで突っ込みどころ満載。でも問題はそこじゃなくて、その矛盾だらけの設定を巧みな構成と演出でカバーし、視聴者を没頭させて少なくともドラマを観てる間だけはその矛盾に気付かせない事。これこそがヒッチコック/トリュフォーの映画術で語り尽くされたサスペンス理論そのものなんだな。

確かバルカン超特急の項目だったと記憶してるけど、あれも実は矛盾点が多くて鑑賞後冷静に考えるとおかしな事ばっかりなんだと。でも客はその事に気付かない。何故なら観てる間は登場人物へ迫り来る危機に夢中だから。あのハッキングのエピソードにも共通点は多く、パスワードを3回間違えたらシャットアウトされる筈なのに何故アルファベット6文字総当たりの解析プログラムが有効なのかと問われたら、そりゃ矛盾してますよ。でも視聴者の8割は半沢部長に迫る危機と天才プログラマー高坂の活躍に夢中でハラハラドキドキ。それでいいんよ。サスペンスってそういう物だし。

多分、放映後にここはおかしいあそこは矛盾してるって書いてる奴らの半数も観てる間は没頭してた筈。それはもう制作側の完全勝利で、終わってから何を言おうが後の祭り。だってジャンケンには負けてるんだから。

恐らく今夜も矛盾だらけ&ご都合主義の設定を払拭する優れたサスペンス演出で俺らを楽しませてくれる筈。21:00が待ち遠しいぜ。

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