追悼 藤子不二雄A
御年88との事だから大往生と認識してるけど、やはり我々の世代的に寂しさを拭いきれず。藤子作品のない少年時代など考えられないし、その作品群は何時も隣に寄り添ってくれたからね。偉大なる巨匠の功績に敬意を表し合掌。しかし相棒のF先生が逝去されたのって四半世紀以上前なのか。その事の方が衝撃的だったりする。
藤子不二雄さんが二人体勢だという事は自伝マンガ等に触れガキの頃から知ってたけど、同名義の完全分業でやってた事は随分後に知った。子供にそんな裏事情なんぞ理解出来ないから藤子先生は作品によってこんなにも作風を使い分けられるのか!大天才だ!!とか思ったりしてた。
F先生はドラえもんに代表される子供向けファンタジーの大道、A先生は笑ゥせぇるすまんに代表される大人向けブラックユーモアってのが定説だけど、これはまあ間違いのない所だと思う。いずれも素晴らしい作品群なれど、印象度という点ではA先生の作品が一歩抜きん出てる感がなきにしも非ず。
忘れられない魔太郎がくる!!のエピソードがある。俺の記憶に間違いが無ければ読んだのは千葉に家族で海水浴へ行った9歳の時。お世話になった民宿に置いてあったボロボロの少年チャンピオンで、魔太郎が当時大人気だったブルース・リーのTシャツを着てたらいじめっ子に強奪されてしまう。その後、今度は筋肉柄のTシャツを奪われたか進呈したか記憶が曖昧だけど、とにかくその不気味な筋肉Tシャツがいじめっ子の手に渡る。で、それを着たいじめっ子は魔太郎の呪いによって全身筋肉剥き出しの怪物へ変貌してしまう。それで唐突におしまい。オチもクソもなくカットアウト。これが気持ち悪くて後味最悪で、クソジジイになった今も鮮明に覚えてる。たった1回、民宿にあった古雑誌を読んだだけなのに。
F先生の作品は綺麗にオチが付きエンドマークが出ておわりってのが多いけど、A先生の作品はとにかくカットアウトが多い。先の魔太郎にせよ笑ゥせぇるすまんにせよズバッ!と終わるから復讐劇にも関わらずカタルシスは皆無で、ドロドロした印象が何時までも尾を引く。しかもそれを計算づくでやってる。嗚呼、才人だなと改めて思わされる。
こんな事を書いてたら、あのドロッとした感触を久々に味わいたくなった。そうなると魔太郎が最適だろうな。こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か!!
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