火の鳥 未来編とバイパスの夜
四半世紀以上前だけど1巻の黎明編は読んだので2巻の未来編から読み始める。いや、参った。壮大なスケール感、非凡としか言いようのない発想力と創造力、そして、それを絵に昇華させる画力と構成力。頭ひっぱたかれたなんてもんじゃない。みぞおちにキツいのを一発食らって悶絶させられた心境。正にマンガの神様ここに有り。
この未来編が全エピソードの中でどういう位置付けなのかは掘り下げてないけど、この調子で逝くと読破する頃には浦沢直樹さん同様、放心状態になる可能性大。こんな凄まじい作品を今の今までスルーしてきたとは恥ずかしい事この上なし。逆に言えば、これほど刺激的な作品を今になって堪能出来るのは結果オーライ。取り敢えず明日は3巻ヤマト編・宇宙編を読むか、改めて黎明編を読み返してから次へ進むかで悩み中。
しかし俺ってば手塚作品をどれだけ読んだか思い返すと恐らく全体の1/20程度。数が多いって事もあるけどファンを自認するにはあまりにもお粗末。それでも大好きな作品が沢山あり、ふと思い出したのはバイパスの夜という18ページの短編。神様にしてみればこんなの朝飯前といった小品扱いなんだろうけど私的ファーストインプレッションは強烈で、今も忘れ得ぬ傑作の一つという位置付け。
たまたま乗り合わせたタクシー運転手と客の会話で構成された密室劇で、無愛想な運転手に愛想を尽かした乗客が自分は強盗殺人犯だという告白を始める。すると今度は運転手が浮気した女房を今さっき殺してトランクへ乗せてると言い始める。緊迫した空気の中、突然2人は笑い出し、お互い単なる作り話だという。しかしながら乗客は大事そうに抱えたアタッシュケースを他人に一切触れさせようとせず、タクシーのトランクからは赤い液体がポタポタと流れ落ちる。2人の話が嘘か本当か分からないままタクシーは再び夜の闇へ走り出すのだが・・といった内容。恐怖夜話の1エピソードと言った感の作品で、とにかく最後の2ページが怖い・・つーか、ドロッとした余韻を残す。
web検索したらこれが世にも奇妙な物語で映像化されてるのね。まあマンガの完成度には遠く及ばないだろうけど1度観てみたいとは思った。ちなみにこの作品、手塚治虫漫画全集 261 時計仕掛けのりんごに収録されてるので興味がお有りの貴兄には古本を探して読んでいただきたく。
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