俺のアニソン史 その2
アニメ界にタイアップ曲が蔓延する少し前から歌詞にタイトルとキャラの名前が出て来ない傾向が見受けられ始める。それがどの時期からなのか探ろうとした場合、非常に都合が良いのはSFロボット路線だったり。当時俺も熱を上げて結構な数の作品を追いかけてたから分かり易いって事もあったりして。
ジャンルとしての転機は機動戦士ガンダム(1979)だけどまだ歌詞にガンダムの名前が連呼されてますね。続く伝説巨神イデオン(1980)も傾向は一緒。富野作品で言えば戦闘メカザブングル、聖戦士ダンバイン(共に1983)、までは同じスタンス。これが重戦機エルガイム(1984)辺りから崩れ始め、Zガンダム(1985)で完全に崩壊する。
富野作品から少し離れ、ブームを牽引したもう一人の巨匠高橋良輔監督の作品に目を向けると太陽の牙ダグラム(1981)は歌詞にタイトルが含まれてて、装甲騎兵ボトムズ(1983)で消え去る。俺の知る限りSFロボットアニメの主題歌からタイトル名が消えたのはこれが業界初じゃないかな。
丁度この時期、その傾向を決定付ける1曲のアニソンが登場。杏里のキャッツアイ(1983)ね。申し訳程度に作品名は出てくるけど詞の内容がほぼ作品と関係ない。アニメ主題歌っぽくないというか、普通にJ-POPとして成り立ってる。これがまた大ヒットした事で業界全体がそっち方向へ傾き始め、SFロボット物に反映された最初の例がボトムズって事になるのでは。
とは言えどの作品にも人気のアーティストを引っ張ってこられる潤沢な予算があった訳じゃないから、ちょっと小洒落た曲を何処かで聴いた事があるような声の無名歌手に歌わせちゃうというスタンスが主流。暫くはそんなアニソンが台頭し、シティハンター(1987)エンディングテーマ、TM NETWORKのGet Wildが決定打となりタイアップ曲が業界の常識みたいになる。以後、話題作(特にマンガ原作アニメ)の主題歌は例外なくタイアップで、詞の内容も作品とかけ離れた物ばかり。ヒットチャートは賑わすもののアニヲタ的に面白くない傾向が長期に渡って継続される。
そういう意味じゃTM NETWORKはかなり罪深い事をしたなと。いや、良い曲だと思いますよGet Wild。当時のヲタどもが熱狂したエンディングの流れ(物語のエピローグからイントロが食い気味に流れ始めてEDクレジットへ突入する)もカッコいいと思ったし。ただ、業界全体がこれに右へ習えしちゃったのがね、ちょっとまずいんじゃないかな~と思わされたり。
勿論、全部が全部タイアップ曲って事はなく、別路線で昔ながらの主題歌もちゃんと作られてた。宮崎御代のトトロ(1988)なんか言わずもがなだし。で、この辺りで俺もアニメに飽きちゃって暫く観ない時期が続いたからそこから先の事はよく知らない。ただYAWARA!(1989)は原作が好きだったから何となくアニメ作品も観てたけど正にタイアップ曲の応酬って感じだったな。
つづく・・
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