PLUTO(プルートウ)全8巻 読了
約15年遅れで読み終えたけど素晴らしかったな。作品としての完成度もだが、オリジナルへ敬意を払いつつ別の視点で物語を組み立て直しながら、優れたリメイク作として成り立たせてる事が凄い。それと手塚作品に限らず様々な名作の要素を上手く取り込み、世界観に厚みを持たせる手腕も見事としか言いようがなく。ブラウ1589は誰がどう見たって羊たちの沈黙のレクター博士だし、押井版攻殻機動隊の影響もここかしこに見受けられるが、それらが単なるリスペクトじゃなく作品の血肉となってる。
手塚眞さんの2巻あとがきによると企画立ち上げ当初、浦沢さんは手塚タッチに寄せて執筆する事を考えていたらしいけど、眞さんは浦沢さん自身のタッチで描く事を許諾の条件としたそうな。エグゼクティブ・プロデューサーとして眞さんはこの上なく最良の判断をしたと思わされる。仮にこの作品が浦沢さんの描く手塚タッチで構成されてたらこれほどグッとくる物には仕上がらなかったと思う。浦沢キャラだからこそガツンと来るんだよな。アトム登場シーンとかマジでシビれるし、SW新シリーズでの主要3キャラ登場シーンに匹敵する衝撃。あとクライマックス間際の主役交代劇にも頭ひっぱたかれた。こう来るか!!と。
登場人物の表情がまた良いんだよなぁ。漫勉で浦沢さんがよく言うキャラの演技ね。眉毛と口元の処理がホントに上手くてちょいちょい泣かされる。歳食って涙腺が緩んでる事もあるけど、手描きの絵で読み手の心を揺さぶり泣かせるってのは大した才能だわ。
今はその余韻に浸りつつ本家の鉄腕アトムを読み始めた所だけど、ちょっとPLUTOの余波が強過ぎるから少し間を置いた方が良いかもと思わされたり。そう言えばタイムリーな事にNETFLIXで近々アニメ版が配信されるのね。プロモーション映像を観たら作画クオリティがあり得ないほど高いのでこれはかなり楽しみだ。日時が公表された時点で再加入確定。
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