THE FIRST SLAM DUNKとモーションキャプチャ技術の進歩
原作を読み切ったから折角なのでTHE FIRST SLAM DUNKをU-NEXTでレンタル鑑賞。ちなみに俺、山王戦がTVシリーズのアニメでは描かれていない事を数日前まで知らなかった。公開時SNSで随分と不評が飛び交ってたけど個人的には嫌いじゃない。ただ、webを見渡せば無数に転がってる不平不満も理解出来なくはないので内容に関してはコメントを控える。
むしろ原作新書版表紙レベルの水彩着色風の絵が生身の人間みたく気持ち悪いぐらいヌルヌル動く作画技術に舌を巻いた。もはやモーションキャプチャは潤沢な予算が約束されたアニメ作品なら普通に導入される技法だから真新しさこそなくなっものの、それでもこの動きは凄いなと。90年代にリアタイでアニメシリーズ観てるヲタをタイムスリップさせたら腰抜かすんじゃねえの。
とは言え、こういう動きのアニメが当時なかった訳じゃない。モーションキャプチャとは異なるけど実写映像を手書きでトレスするロトスコープなる技法があり、俺ら世代にとって馴染み深いのはa-haのテイク・オン・ミーMV(1984)。
あと個人的に印象深いのはブルーハーツの人にやさしくを使用したレナウンのCM(1988)。
いずれもスラムダンクのTVアニメシリーズ(1993-1996)より遥か以前に制作されてる。ただ当時はとんでもなく手間と費用がかかるので2時間の劇場版アニメ作品全編へ導入するのは非現実的だった。ちなみにロトスコープの歴史は驚くほど古く、初めて公開されたのは1919年ですと。100年以上前ですか。
これがモーションキャプチャ技術の飛躍でもう少し身近になる訳だけど一朝一夕に成し遂げられた訳じゃない。歴史を紐解くとスポーツのジャンルで体中に電球を付けて撮影・解析する現在のモーションチャプチャの原形が1930年代に初めて実用。
体中にマーカーを付けPCで3D解析する現在の手法が映画やアニメではなくテレビゲームの分野で活用され始めたのは1980年代(諸説あり)で、その技術が普及しローコスト化が実現した事により映画界やアニメ界へ波及する。最初期はゲームキャラが人間っぽく動けばそれでOKって感じだったけどドラマじゃ感情移入出来ないから更に技術的な進歩を求められ、俺の知る限りでは2010年代ほぼ完成の域へ到達した感がある。ラブライブ!とかが登場した頃ね。
ただ、確かに動きは凄いんだけど3DCGっぽさ全開で違和感を否めず。そこから更にユーザーのニーズに応えるため技術開発は進み、2020年代に入ると手書き風の絵に落とし込む事でセルアニメ時代の感触に近い絵がリアルに動く印象を与える形になり不自然さが軽減された。今期俺が追いかけてた冬アニメで言えば葬送のフリーレンもメダリストも推しの子も呪術廻戦も地獄楽もこの技術をふんだんに駆使してる。
現時点でガキの頃の俺が観たら卒倒するレベルの動きが実現されてるけど人間の欲望は果てしないので、これからまた10年経ったら更に進歩するだろうね。でもオールドタイプ的には昔ながらのマンガ映画の動きも忘れ難い。写実派の行き着く先は1枚の写真に過ぎないってのと同じ理論で、作り物っぽいからこそ魅力的だし面白い。究極のリアルに近付いた2010年代の3DCGアニメが一歩後退するような形で手書き風のスタイルに落ち着いてるのも結局はそういう事でしょ。
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