2022年12月13日 (火)

爆笑映画館

私の記憶が確かならば今年劇場で観た映画はシン・ウルトラマンとトップガン マーヴェリックだけか。今に始まった事じゃないがシネフィル失格だな。

数少ない劇場鑑賞も都下のシネコンで客席ガラガラというパターンばっかりだから不特定多数の観客たちと盛り上がるなんて事も随分ご無沙汰。盛り上がるってのとは少し違うけど2015年に観たマッドマックス怒りのデスロードが最後に味わった一期一会の心地良い映画体験。今も封切り間もない話題作を満席近い劇場で観ればああいう体験が出来るのかなぁ。

昔の事を思い返すと昭和の時代に話題作なんかを観に行くと観客全員が盛り上がる気満々だったから登場人物がギャグかませば場内大爆笑なんて事はザラで、ギャグどころかちょっとしたマヌケな仕草だけでもみんな大笑い。もうホント、映画館って人を笑い上戸にさせる不思議空間だった。

そんな映画体験の中で印象深い例を挙げると中野武蔵野館で観たモンティ・パイソン二本立て(ホーリーグレイルとアンドナウ)、池袋文芸地下で観たキャプテン・スーパーマーケット、大井武蔵野館の中川信夫特集で観た女吸血鬼がベスト3か。モンティの2本立ては凄まじくて、あまりにも楽しかったら1-2週間の上映期間に4回観に行った。すると大してノリが良くない日にも当たったりして、映画もライブなんだと初めて認識した瞬間だったかもしれない。

キャプテン・スーパーマーケットも凄かったなぁ。アッシュが決め台詞を吐く度に場内大爆笑。クライマックスでは拍手喝采。あれ、映画祭でも何でもなかったんだよね。たまたまノリの良い観客が集結しただけ。女吸血鬼は半分映画祭ノリだったけど、あの時も精鋭揃いだったな。

逆にロッキーホラーショーを中野武蔵野館で観た時は後に社会現象となるパーティ形式が確立する前で客もまばらだったから全然盛り上がらなかった。映画自体は好印象だったけど、もしあの時にコスプレイヤーが大挙して押し寄せてたら印象は全然違ったろうね。

新宿オデヲン座で観たエイリアン2も凄かった。それと自主映画だけど渋谷パルコPART3で観たPFF84入選作の肉体労働者が空を飛ぶ時、窓ぎわのコーちゃんに恐怖の暗躍団が迫るもメチャメチャ盛り上がった。良い観客に恵まれると映画の面白さは二乗三乗に膨れ上がる事を学んだよ。

あと僭越ながら拙作スケ番ハンターズ地獄の決闘をゆうばり映画祭で上映した際に観客の皆さんが勿体ないほど盛り上がってくれた時も本当に嬉しかった。またあんな感じで不特定多数の人たちと映画で盛り上がりたいなという願望を自作で実現出来るなんて夢みたいな話ですよ。その快感が病み付きになって撮り続ける作家さんも多いと聞くけど、今はちょっと余裕なさ過ぎるので次回作に取り組むのは何時の事やら。

2022年12月 6日 (火)

映画音楽

今夜のマツコの知らない世界は映画音楽がテーマで、大御所ネタが多いから収穫こそなかったものの番組自体は面白かったな。あと、マツコさんがダンサー・イン・ザ・ダークを生涯ベストワンと評してたのも興味深い。俺も大好きな作品ではあるけど、あの悪名高き問題作も刺さる人には刺さるんだな~と。

自称シネフィルで10000本には満たずとも5000本以上の映画は観てきたので好きな映画音楽は星の数。だからベストワンを挙げろと言われたら3日ぐらい悩んでしまうのだが、殺し屋に銃を突き付けられて今この場で3本の作品名を挙げないと殺すと言われたら、今日の俺はこう答える。

ジョーズ(ジョン・ウィリアムズ)
夕陽のガンマン(エンニオ・モリコーネ)
シェルブールの雨傘(ミシェル・ルグラン)

思い付きで3本挙げたけど、こういうシチュエーションで即連想するんだから上位に君臨する事は間違いない。

ジョーズはあの有名なメインテーマも見事過ぎるけど個人的にはSea Attack Number Oneという曲がベストオブベストオブベスト。オルカ号から海にエサを撒いてたブロディ署長の目前に初めて巨大鮫が姿を現してからクイント船長が樽付きの銛を打ち込み陽が暮れるまでのシーンにかかる曲ね。何の誇張もなくサントラテープは2000回以上聴いたしベータマックス VHS LD DVD BD合わせて1000回以上観返した。正に俺の原点。映画とはこれ。

夕陽のガンマンはクライマックスでモーティマー大佐とインディオが対峙するシーンの曲。曲名はLA RESA DEI CONTIか。インディオが懐中時計のオルゴールを鳴らし始め、何故か涙目になっていくモーティマー大佐を大写しした後に曲のテンポが落ち始め、さあ決闘の時だと思った矢先に同じ曲を奏でるオルゴールを持った名無しが登場し、インディオがキッ!と睨み付けると曲調が一気に変わりアコギの音が響き渡る。もうカッコ良過ぎて小便チビる。

シェルブールはガキの頃に商店街でよくかかってたから曲だけは知ってたけど作品を観たのは10代の後半で、ああオリジナルはこの映画だったのかと思ったり。で、実際に作品に触れてからあの曲を聴き返すと無条件で涙腺が緩む。こんなに美しくも悲しい曲を俺は他に知らない。

勿論、大好きな映画音楽は他にも沢山ある。あり過ぎて困る。ニーノ・ロータ、バーナード・ハーマン、ダニー・エルフマン、ジェームス・ホーナーetc...。昨日サッカーTV観戦後に気まぐれでフィールド・オブ・ドリームスを部分的に観返したんだけど、もうホーナーさんが作ったあの曲を聴いたらパブロフの犬状態で泣けてくる。映画音楽、偉大なり。

2021年11月24日 (水)

ミュージカル映画に必要な場末感

食い物の事ばかりじゃなく、気まぐれに映画の話も書いてみる。

少し前にWOWOWでミュージカル映画特集が放映され、ウェストサイド物語とマイフェアレディは録画BDが手元にあるのでスルーし、未見のキャッツ、オペラ座の怪人(2004)、ヘアスプレー(2007)を録画してここ数日で一気見。以前から書いてる通り俺は無類のミュージカル好きなんだが、キャッツとオペラ座~には全く乗れず。でもヘアスプレーは良かったな。この3作を1枚のディスクへ焼いたものの手元に残したいと思ったのはヘアスプレーだけなので再放を待って焼き直す予定。

別にキャッツとオペラ座~がつまらないとは言わない。でも何処か鼻につく。これ、何年か前にレ・ミゼラブルを観た時も同様でA級感・大作感を全面に出されると一気にシラける。逆にヘアスプレーは何だか場末感が漂い、それが妙に心地良くて俺のハートを鷲掴みする。

感覚的な問題だけど、往年のRKOやMGMのミュージカルにも大作感はない。そりゃアステア&ロジャースやジーン・ケリー、シド・チャリシー、フランク・シナトラといった大スターを起用し予算もふんだんに注ぎ込んだ大作ではあるんだけど、妙に庶民的だったりする。

7-80年代に目を向けると俺の大好きなブルース・ブラザースやフランク・オズ版リトルショップ・オブ・ホラーズがメチャメチャ金かけてるけどイメージ的には超B級。近年ではラ・ラ・ランドもそうだな。キャッツとオペラ座~を観た直後、どうにも納得いかずラ・ラ・ランドのオープニングが見返したくなり、BD引っ張り出してきて再見したらチャゼル監督の分かってる感がハートに染みて号泣しちゃったよ。

この辺は受け手によりけりだけど、高級感漂うミュージカルって俺は苦手。チャーシューの美味いラーメンが食いたいのにリブロースのステーキが乗ってた、みたいな違和感を覚える。それが良いって人を否定しようとは思わないが個人的にもう少し安っぽさが欲しい。とは言えホントに安っぽいとそれはそれでシラけるから難しい所ではある。

2021年5月21日 (金)

劇画ロードショーにまつわる思い出話なんぞを

以前、当ブログでも書いた気がしたけどキーワード検索しても全くヒットしないから旧サイトに書いたのか。なら10年以上前って事だから同じネタを書いても問題あるまい。誌上ロードショーとかコミカライズとか便利な言葉が色々あるものの個人的には映画マンガって表現が一番しっくりくるから好んで使っていきます。

俺が初めて読んだ映画マンガは多分、月刊少年チャンピオン掲載のカサンドラ・クロスか、がんばれ!ベアーズだったと思う。いずれも77年新春ロードショー作品だから俺が小四の頃。映画に魅せられ話題作は観たいけど金がないから親へねだり連れてって貰う以外に方法がなかったあの頃、映画を観た気分にさせてくれるチャンピオンの劇画ロードショーはホント、有り難い存在だった。

気を付けなくちゃいけないのはこれって予告編的な物じゃなく結末までバッチリ描かれてるからネタバレを嫌うなら絶対読んじゃダメって事。実際にがんばれ!ベアーズを観たのは二番館へ落ちてからだけど、当然マンガと同じ内容だから記憶がごっちゃになり、これって前に観たんだっけ??と思わされたりして。

その点、一番失敗したのはこれ。

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劇場公開に先立ち刊行されたエイリアンのアメコミ日本語版。ご覧の通りクライマックスの二段オチまでしっかり書かれてるから読了直後に観た本編を全く楽しめなかった。まあ自己責任だけどね。今と違い話題作の内容は結末に至るまで公開前に拾えちゃう時代だったから、これを機に関連書籍は鑑賞後に読む習慣が付いた。近年、映画マンガ自体ほとんど見かけなくなったのはそういう事情かも。

ネタバレに関する締め付けの緩かった昭和期が映画マンガ全盛期だと思うけど、平成に入ってからもその文化が途絶える事はなく、

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これなんか清水崇監督ご自身が執筆した映画マンガ。但しダイジェスト的で予告編然とした作りにはなってる。あと、2000年代に入って間もない頃、同人誌界でその名を馳せたMEIMUさん執筆のリングや呪怨のマンガが単行本化されたり。恐らく、俺の知らない所で今も脈々と続いてる文化なんだろうな。ただ前記通り、ネタバレだ何だと騒ぐ奴が多いから大手出版社のマンガ雑誌に全編描かれた映画マンガが掲載されるような事はもう二度とないだろうけど。

2021年5月20日 (木)

【映画関係者必読!】劇画ロードショーの世界 昭和編

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縁あって筆者の方からご寄贈いただいた表題の資料集が昨日手元に届き、早速拝見してるのですが・・ これはちょっと・・ ヤバいです。

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俺が約10年前、遊び半分に始めた月刊少年チャンピオン劇画ロードショー掲載リストの完全版から始まり、

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研究対象はこんな細部にまで渡り、

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秋田書店発行のマンガ雑誌を離れ、ここでちょっとネタにした月刊ロードショー掲載の劇画等々、ありとあらゆる誌面を飾ったコミカライズ作品を網羅した上に、

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極めつけはこの単行本&付録リスト。左上のゴジラなんか昭和28年発行という事だから恐らくは日本最古の映画マンガと思われ、この辺になると一体どうやって情報収集したのか想像も付かない。筆者の鬼気迫る情熱と執念がひしひし伝わる渾身の一作。改訂版のお話は5年前から伺っていたものの、まさかこれほどの質量とは夢にも思わなかった。素晴らし過ぎて言葉が出ません。

筆者様は相変わらず委託販売等を考えておられないようなのだけれど、それでも映画好きの方々へはこの研究成果を届けたいというジレンマに苛まれているとの事。俺が地獄の決闘を撮った頃なら映画関係のライターさんとしばしばお話する機会にも恵まれていたので微力ながら力になれたと思うのだが、今はほぼ引退状態だからお役に立てず申し訳ない限り。

それでも当ブログをちょいちょい覗いて下さってる映画関係者の方が今もいらっしゃるようなので声を大にして言います。今はまだ知る人ぞ知るですが、世の中にはこんなに優れた映画マンガの資料集が存在します。同世代のシネフィルには間違いなく刺さる逸品だと思いますので、興味を持たれましたら筆者様へご連絡いただきたく。ブログの更新は休止中で、今は編集長729号@koan9999のTwitterアカウントで活動されておられます。

2018年8月15日 (水)

死刑の映画

予想はしてたけど正露丸で収束するレベルながら軽く腹を壊した。やはり日々小食を心がけてるのに突然ペヤングで胃袋を満杯にしたので内臓がビックリした模様。

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現在WOWOWでトラック野郎シリーズの特集が組まれてるものの全10作中、何故か3作目だけが放映されない。まあ恐らく権利的な問題だとは思うけど真相が気になる気になる。

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で、表題の件。巷じゃ先月辺りから死刑というワードがトレンド入りする物騒な世の中。俺も一応は死刑制度に関する明確な持論を持ってるけどデリケートな問題だし、ここで公言しても意味がないので内緒。

最近の死刑報道に触れ、何故か女囚さそり701号恨み節で中原早苗が扮する死刑囚の絞首刑シーンが無性に観返したくなり手元のDVDライブラリーから引っ張り出してきて再見。うむ、これは何時観ても鬱になる。

ただ、どうにも既視感を覚え、一体どういう事??と思いを巡らせたら即座に回答が導き出された。これのリスペクトなんだな。

はい、パピヨンのギロチン斬首刑シーン。これを初めて観たのは確か中二の時で、鬱と言うより超トラウマ。

死刑囚を演じたのは無名の役者さんだと思うけど、そのイヤがり方、ジタバタ感が素晴らしい。それを二人の看守が無理矢理ギロチン台へ引きずっていき、手足縛って首ちょんぱ(死語)。それまで映画観ててこんなイヤな気分にさせられた事はなく、脳裏の奥底へ強く深くインプットされた。

ガキの頃って死への恐怖感が今とは比較にならず、死にたくないのに殺されちゃうというシチュエーションが強烈な印象を残すんだよね。もうホント、死刑制度そのものより犯罪者にはこのシーンを見せつけた方が抑止力になるんじゃないかとさえ思った。

しかし改めて映画の死刑執行シーンを思い返すと、印象に残ったのは先の女囚さそりとパピヨン以外じゃダンサー・イン・ザ・ダーク位か。正直、西部劇の絞首刑シーンや戦争映画の銃殺シーンは淡泊過ぎて全然印象に残らない。やはり死刑囚は徹底的に死を怖がり、抵抗しないとダメ。

死刑制度に関する持論は内緒と冒頭に書いたけど、ここまでの記述で俺がどういう思想の持ち主かはバレバレな気が・・

2016年3月11日 (金)

ももクロとか007とか

夜勤続きの為、休みの日も基本的には昼夜逆転生活を維持してるんだけど、今日は15時近くにけたたましいサイレンの音で叩き起こされた。なんだなんだ??と思ったら・・ああそうか。今日は3.11だ。5年前も同様に夜勤続きで寝てたら強い揺れに叩き起こされた事を思い出す。

で、webを徘徊すると妙な自粛ムードが漂ってるけど、あんまり意識し過ぎるのも違うと思うのでウチは通常営業。そんな訳で表題の話を。

結局、俺のももクロ探求はYouTube検索に加えマキシシングル3枚レンタル、ライブDVD1枚レンタルで完結しちゃった。好感度は高いし陰ながら応援していきたいと思うけどPerfumeレベルでハマり込む事はなさそう。

要するに俺が魅せられたのはトップアイドルとしての彼女たちより、良質なアイドル映画に真空パックされた一瞬の輝きなのだ。だから役者としての彼女たちには今後も興味津々だけどライブでサイリウムを振る事は多分ない(・・と思う)。

ちなみに最近は幕が上がるをBGV代わりにヘビロテしてて、まあ物語のキーとなる各シーンも良いんだけど個人的に一番ハートを射貫かれたのは高城れに嬢の神妙な表情かな。常に笑顔を絶やさないムードメーカーの時折見せる真面目な顔つきが凄く良い。これは演技云々じゃなく、生まれ持つ力だろうね。

***

話は変わって007。劇場で最新作スペクターを観た頃から未見の007シリーズを網羅したくなり1月に1本、2月は3本、今月も3本観て、残るピアース・ブロスナン主演の4本を観ればコンプ達成。

しかし007シリーズって男はつらいよ並に基本構造が同じだからまとめて観ると中身がごっちゃになる。ちなみに2月末から今月にかけて立て続けに6本(ムーンレイカー、ユア・アイズ・オンリー、オクトパシー、美しき獲物たち、リビング・デイライツ、慰めの報酬)を観て、もうどれが何やら状態。現役ボンドのダニエル・クレイグ主演作だけは少し構成が違うけど、恐らくピアース・ブロスナン主演のシリーズはお約束通りの展開だろうから少し時間を置いて観るつもり。

2015年6月19日 (金)

IMAXとかMX4Dとか

ちょっと調べたらTOHOシネマズ新宿のマッドマックス最速上映は俺が座席確保した9:40の2D上映じゃなく、てっぺん越えの0:00ジャストなのね(但し3D字幕版IMAX)。知ってたらそっちを選択したな~ 帰りの電車ないけど車で行けば良いし、翌日夜勤だから生活サイクル崩さずに済んだし。

ちなみに俺も古い人間だから映画は2Dで堪能したい派。別に3Dを毛嫌いしてる訳じゃないけど視覚情報過多で集中力を削がれちゃうんよ。そんな訳でIMAXも未体験。でも興味はある。

6月末に導入されるMX4Dにせよアトラクション要素を含んだ映画鑑賞って初見では敬遠しちゃうな。気に入った作品をもう1回観る時には良いかもしれないけど。

前評判を聞く限りマッドマックスは2度観る価値がありそうだし、そもそもチケット2枚持ってるからまず2Dで堪能し、後日IMAXで再見しようかと。これが吹き替え版なら良かったのにTOHOシネマズ新宿は字幕版しかやってないのだ。

2015年5月31日 (日)

古典映画を観る時の緊張感

映画の夢 夢の批評読破。やはり集中して読めば半日かからなかった。読み易いって事もあるけど写真だけのページが多いから実際のボリュームはページ数の8割程度だったりするので。

あとがきを読むと今更ながら俺の知らなかった幾つかの事実が明らかになる。まず翻訳者として山田宏一氏と共に蓮實重彦氏の名が挙げられてる理由は、そもそもこの本が山田氏初のフランス語文献翻訳の仕事で、フランス文学の権威で映画仲間でもある蓮實先生に山田氏がサポートを依頼する形で作業を進めたからなんだと。ほぼ同時期に出版されたヒッチコック/トリュフォー(映画術)も同様に翻訳がダブルネームなので作業工程は一緒なのかも。

本自体の寸評を書くと、それまで別の書物でトリュフォーの文献には触れてたから新鮮な感動こそなかったりする。ただ山田氏の名著友よ映画よの記述にある、カイエ・デュ・シネマ同人の屁理屈こねても仲間を擁護する姿勢が明確に現れてて凄く興味深い。仮に失敗作だったとしても巨匠の作り上げた失敗作だからこそ価値があるとか何とか。筋が通っていそうだけど冷静に考えると全く筋が通ってないという。

それ以上に、この文献に触れると紹介されてる映画を凄く観たくなる。これ、映画批評として一番大事な要素じゃないかな。絶賛するにせよ酷評にせよ、読み手を映画から遠ざけてしまう批評に価値はないってのが俺の持論。実際、トリュフォー自身もそれに近い事を書いてて、酷評する際も作品に対する愛を込める努力は怠らなかったんだと。但し、酷評された側にはその愛が全然伝わらず、死ぬまで批評家トリュフォーを恨み続けた巨匠もいるらしい。

話を戻せば、そんなこんなでジャン・ヴィゴ監督作品アタラント号のLDを買ってしまった訳だけど、こういった古典映画を観るのにはかなり勇気が要り、緊張する。それは古いし小難しそうだから疲れるとか頭を使うとかそういう意味じゃなく(正直言えばそういう部分とてなきにしもあらずだけど)むしろもし俺にこの作品の真価が理解出来なかったらどうしようという不安感だね。

若かりし頃はそういった古典に触れる際、分からなかったら恥ずかしいみたいな見栄があって絶対にネガティブな意見を口に出せなかった。それどころか実は全く面白いと思ってなくてもポーズ的に面白いと周囲に触れ回ったりして。今はそんな事もなくなったけど相変わらず古典に弱い。特に敬愛する作家や批評家の絶賛する作品には。

これがハリウッドの娯楽大作なら好き勝手な事を言える。面白いんだけどあそこはイマイチだったね~とか己の身分も顧みず減らず口叩いたりして。じゃあ同じ事をジャン・ヴィゴや、同様に夭逝した日本の天才監督山中貞雄、またはヌーヴェル・ヴァーグをしてフランス映画の父と言わしめたジャン・ルノワールの作品で言えるかと問われれば、口が裂けても言えない。

既に多くの偉い人が絶賛してるから恐れ多いって事もあるけど、トリュフォーだったり、そのトリュフォーが師と仰ぐアンドレ・バザンだったり、日本の映画評論家として俺が最も敬愛する山田宏一氏だったりが絶賛する映画を理解出来ないのは怖い、むしろその魅力を分かる人間でありたいと思うからこそ気楽に観られない。そんな訳で今日は休みだから時間があったのに未だアタラント号は未見。さすがに観念してこれから観ようとは思ってるけど。

しかし2006年辺りから年間200本以上の映画をDVD&BD&WOWOWで観続け、最近はネタ切れ傾向でレンタル屋を利用する機会も減ってきて、俺様も気になる映画は観尽くしたかなあとか思い上がってたけど、トリュフォーの文献に触れたら古典やアート系が徹底的に穴だらけだという事を思い知らされた。思えばこの10年間、観てきたのは近年の娯楽映画が中心だったからなあ・・ 映画探求は果てしないよ。

2015年5月 3日 (日)

夜の新宿ゴジラ

夜の新宿ゴジラ

夜は光るのね。

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