2025年2月26日 (水)

GREEN DAY JAPAN TOUR 2025 Kアリーナ横浜 2025/2/25

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去年の8月だったか仕事帰り地下鉄に乗ったら車内に広告ステッカーが貼ってあり、見るとグリーンデイの来日公演が2月にあるという。もの凄くコアなファンって訳じゃないけどAmerican Idiotは一時期相当聴き込んだし一応全アルバム視聴済みだから一度は観てみたいと思いつつ、オフィシャル3次先行だったけど申し込んだら余裕の当選。もう歳なんでオルスタは敬遠してシートのS席にした。A席よりはマシだけど遠かったなぁ。オープニングアクトの時にSS席の様子を見に行ったら最後列でも距離感が全然違うから4000円ケチらずSS席にすりゃよかった。

でも始まっちゃうと距離はさほど気にならなくなる。個人的に嬉しかったのはAmerican Idiotの曲をガッツリやってくれた事。特に組曲を生で聴かされた時はちょっと感極まってしまった。あとDookieからも5曲か。去年リリースされた新譜(Saviors) からは数曲だけでライブ構成が完全にDookieとAmerican Idiot中心。この2枚が最重要アルバムって事は確かだけどグリーンデイのセトリって毎回こんな感じなのかね。

ライブの感想はこれぐらいにしてグリーンデイにまつわる昔話を。1990年代半ば、たまたま聴いてたラジオから印象的な曲が流れてきて、音は完全にパンクだけどメロディが凄くキャッチーで、ボーカルの声もクリーンでロックよりはポップ寄り。これが妙に刺さって気になったもののアーティスト名と曲名を聞きそびれて暫く自分の中では謎の良い曲という位置付けになった。

暫くすると同じアーティストの楽曲と思われる曲がラジオから流れてきたので慌ててカセットテープに録音。これも曲紹介がなかったから謎の曲扱いで、周囲の音楽好きに聴かせて正体を探ったものの有力情報は掴めず・・つーか、そもそも俺の回りにロック系の音楽好きが居なかったのでお手上げ状態。

それから半年ほど経過し、確かヨドバシカメラだったと思うけどオーディオ機器売り場のCDラジカセで前記のアーティストと思われる楽曲がリピート再生されてて、ラジカセ買う気もないクセして店員を呼びこの曲は一体何???と聞いてみたらようやく正体が判明した。あの時の店員さん、バカな客でホントごめんなさい。

その時リピート再生されてたのはインソムニアックというアルバムでアーティスト名はグリーンデイ。この情報を元に音楽雑誌を読み漁り、インソムニアックの前にリリースされたドゥーキーというアルバムに探し求めてる曲が収録されてる可能性が高い事が分かり試聴もせず購入。そしたら案の定お目当ての曲が7曲目に収録されてた。それがBasket Caseね。あと慌てて途中からカセットに録音したのは5曲目のWelcome to Paradise。

今みたくネットもサブスクも曲検索アプリもない時代だから俺がBasket Caseをラジオで聴いてからドゥーキーへ辿り着くまでに1年以上費やした。だからこそ逆に愛着が湧いてグリーンデイのアルバムは新譜が出れば聴いてた。インソムニアック、ニムロッド、ウォーニングはレンタルで済ませちゃったものの次のアメリカンイディオットはしっかりCDを購入。古い話だからうろ覚えだけどラジオとかで楽曲を聴く前にグリーンデイの新譜かあって感じでジャケ買いした気がする。で、1曲目のイントロに脳天カチ割られた。続く組曲にも圧倒されたっけ。

長らくフーのトミーや四十人格、ビートルズのアビイロードB面辺りにインスパイアされたのかなと思ってたけど今回のツアーでは冒頭にクイーンのボヘミアン・ラプソディが流れる。ああ、確かにボヘミアン・ラプソディ的でもあるか。やっぱライブへ行くと色々と新しい発見があるね。

で、今回思ったのはAmerican Idiot全曲の和訳を読まなきゃダメだなと。さすがに表題曲やWake Me Up When September Ends辺りは和訳もしっかりチェックしたけど組曲は全貌を把握出来てなかったりする。そんな訳でこれからweb検索してAmerican Idiotの真髄に迫ろうかと。20年遅れだけど、なんにもしねえでいるよりはずっとマシなんだぜ。

2025年2月 7日 (金)

ちあきなおみ / 喝采 太田裕美 / 木綿のハンカチーフ

おまかせ録画したNHKアナザーストーリーズ ちあきなおみ ~喝采と沈黙の間で~ 視聴。改めて聴いても喝采ってすげえ歌だなと。ちなみにこの曲がリリースされレコ大を受賞したのは1972年。ボクちゃんまだ6歳ですね。当然ながら真価を知るのは相当後の話。しかしちょっと聴きたいなと思ったらSpotifyやYouTubeですぐ聴けるんだから有り難い時代ですこと。

以前マツコの知らない世界でも喝采を取り上げてて、この3分35秒の歌の歌詞はたった220文字で構成されてるんだと。何とまあTwitterのつぶやき2つにも満たない。昔っから無駄にダラダラ長い駄文しか書けない俺なんか平伏すしかないし、ただ単に短きゃ良いってもんじゃないから難しい。極限まで贅肉を削ぎ落とした上でどんな言葉をチョイスするのかが作詞家の腕の見せ所。もう半世紀に渡り語り尽くされてきたから今さら俺がとやかく語るのも野暮な話だけど、

いつものように幕が開き 恋の歌うたうわたしに
届いた報らせは 黒いふちどりがありました

この一節はホントに素晴らしい。時代を考慮すると訃報の電報って事なんだろうがそれを報らせという当て字で表現するあたり古典文学に相通ずるなと。

喝采を別にして言葉のチョイスが見事な昭和歌謡の話になると即座に思い浮かぶのは太田裕美の木綿のハンカチーフ。いや、他にも素晴らしい歌は沢山あるけど何故かこれが筆頭に弾き出されてしまう。

恋人よ ぼくは旅立つ
東へと向う列車で

もうこの一節でノックアウト。都市名なんか要らない、で全てが伝わるという潔さ。更に言えば場所を特定していないからこそ聴き手の想像力が搔き立てられイメージは無限に広がる。なんかもう五七五の17文字で宇宙を表現した偉大な歌人たちのDNAすら感じさせられたり。ちなみに木綿のハンカチーフの歌詞は346文字。喝采よりは多いがそれでも3ツイートに満たないシンプルさ。

逆に昨今のヒット曲は平均680文字の歌詞で構成されてるらしい(これもマツコの知らない世界の受け売り)。まあ言葉の洪水もまた表現の一つだしそこに美学も魅力も感じるから優劣は付けられないけど好みで言うと限られた文字数で勝負する昭和歌謡に軍配を挙げたくなってしまう。俺も古い人間だからこれはもう仕方ないね。

2023年7月 8日 (土)

追悼 中村治雄(PANTA)

癌で闘病中という話だったから覚悟はしてたけど、やはり寂しいな。ここにも書いた通り20代の頃、追っかけレベルで傾倒した俺にとっては唯一無二の日本ロックスターなので。その肉体が荼毘に付されこの世から消えてしまう前に思い出話を綴っていく。

初めてPANTAさんの存在を知ったのは1980年頃たまたま聴いたFMラジオで、狂い咲きサンダーロードの挿入歌としてつれなのふりやが流れた時。過激なロッカーとして紹介されてたものの曲自体に過激さは感じられず、ただPANTA&HALという名前がやけに印象的で脳裏にインプットされる。

実際にアルバムを聴くのは相当時間が経過した1987年頃。この時期に日本語ロックのルーツを探求し始めたんだけど、そういう事をすれば当然、頭脳警察へ行き着く。で、色々調べたら70年代初頭の武勇伝がわらわら出てきて一気に興味が沸いた。ナイスなタイミングで頭脳警察のベストCDがリリースされ、期待に胸膨らませて聴いた際のファーストインプレッションは正直こんなもんか・・って感じ。当時の俺はアナーキーやらARBやらスターリンやらメジャーデビュー直後のブルーハーツやらを聴きまくってたのでその影響が大きかったんだと思う。進化形に慣れ親しみ過ぎたんだな。

この時期PANTAさんの最新ソロアルバムはR☆E☆D。これも聴いたけど小洒落たPOPな音だなってのが第一印象。そのすぐ後にリリースされたクリスタル・ナハトも似た印象を受けた。ただ、妙に引っかかる。音はPOPなのに詞の内容が極めてハード・・にも関わらずハードさがダイレクトに伝わってこない。何というかオブラートに包まれた印象。これは一体どういう事?と思いつつ音楽雑誌で関連記事を読み漁ってたら全ての謎が解けた。頭脳警察時代からPANTAさんはレコ倫に目を付けられてて、ストレートな表現だとNGを食らうので処世術的にこういう表現スタイルを確立させたのだと。

その事実に触れ改めてR☆E☆Dとクリスタル・ナハトを聴き返したら印象が180度変わった。もう何つーか羊の皮を被った狼の本性に触れ叩きのめされた感覚。さらに遡って頭脳警察を聴き直すと時代の息吹をも感じられるようになりズブズブとPANTAX'S WORLDへのめり込んでいく。そして今は亡き渋谷ライブインでPANTAさんのライブを観るんだけど音が滅茶苦茶ロック。アレンジ自体はCD音源と変わらないのに伝わる物が全然違う。俺、今まで一体何を聴いてたんだ??と思ったし、それより何よりロックは生で聴かなきゃ本質が掴めない事を肌で感じ病み付きにもなった。そういう点でもPANTAさんからは色んな事を学んだ気がする。

俺は一介のファンに過ぎずPANTAさんご本人との交流機会は一切なかったけど、MCや文献から滲み出る人柄に惹かれる部分も多かった。凄くマニアックで話が面白い人だなと。自伝に綴られた単車や車に関する持論に強く共感しつつ、アイドルやギャルゲーの造詣が深いというエピソードに触れた時はPANTAさんらしいなぁと思わされたり。僭越ながら他人とは思えない親しみ易さが感じられる。カリスマ性ってのはこういう事を言うんだろうな。

一度でいいから直筆サインをいただけたら嬉しかったけど残念ながらそういう機会に恵まれる事もなし。でも手元にはこんな物があったりして。

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PANTA&HALのCD-BOXをヤフオクで落札したらライナーノーツに直筆サインが書かれてた。数量限定の予約特典らしいけど備考欄に何の記述もなかったからビックリした事を思い出す。

あと、少し病的だけどこれ。

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日清パワステか大宮フリークスでPANTAさんが投げたピックと、手渡されたセブンスターの吸い殻。当時ライブへ通った人なら知ってると思うけどPANTAさんはアンコールでタバコを吸いながら現れ、最前列の客に吸いかけのタバコを手渡してから演奏を始めた。PANTAさんなりのスキンシップなんだろうけど、ある日のライブでは俺に白羽の矢が立ったわけ。愛煙家時代は俺もセブンスターを好んで吸ってたから、その点でも親近感を覚えたなぁ。

PANTAさん、貴方が居なくなって寂しいけど投げられたロック精神は今も俺の中で強く脈打ってます。今はただゆっくりお休みください。ありがとう、そしてお疲れ様でした。

2023年5月 1日 (月)

YOASOBI「アイドル」 Official Music Video 5600万再生

なんか凄い事になってますね。確か昨日の朝は5000万目前だった筈なのに。間違いなく本年度最大の話題作だし、もう今年のレコ大はこれで決まりじゃねと思ったりしてる。もはや威厳が地に落ちた番組ではあるけどYOASOBIさんには勲章を与えて欲しいし、その価値は十二分にある作品だし。

基本、流行り物には疎いからここまで驚異的な伸びを見せるYouTube動画の再生回数をリアルタイムで追うのは初体験だったりする。なんか歴史に立ち会えてる気がして妙に嬉しい。推しの子シーズン1の放映期間中は失速しないだろうから数ヶ月後に2億回行くでしょ。その後少し落ち着き、時間をかけて夜に駆ける2億6千万、怪物2億7千万の自己記録を更新するんじゃないかと。

また分析好きの俺が色々と憶測を書くけど、最初に俺がこのMVを観たのは履歴を辿ると4/13。Ayaseさんの公式アカウントをチャンネル登録してるので早い段階で情報を掴んで公開日に観たんだな。それからクセになって何度も何度も見返し、俺だけで200回は稼いでる。そういう人が凄く多いだろうから再生回数は5000万オーバーだが視聴者数って事になると1000万に満たないんじゃないのかね。それでも桁違いの数字だが。

コメント欄を見る限り歌詞にやられた人が大半で、確かに素晴らしい詞だけど俺なんかはYOASOBIの過去作で既にやられてるからAyaseさんまたやってくれたなって感じで必ずしもそこがフックにはなってない。じゃあ何が刺さったかと言えば楽曲アレンジとikuraさんの歌声ですかね。狂ったように何度も聴いてたら何処かのタイミングで気付いたけどこれ、ボーカルにピッチシフターかけてるわ。多分、半音か一音下げて歌ってピッチシフトで持ち上げてる。だからああいうアイドルを意識したアニメ声みたいな不自然な歌い方が更に強調されるという。もう何から何まで計算ずくなんだ。

で、先日のTikTok LIVEではikuraさんったらライブパフォーマンスでそれを再現してしまった。初披露って事で決して完璧じゃなかったけどあれを生で歌うのが凄い。これからツアーやら何やらで何度も歌って精度が上がっていくだろうから年末のレコ大や紅白では完成の域に到達するでしょ。それを聴くのが今から楽しみ。

ちなみにこの駄文を書き始めたのが7:12頃でその時の再生数が56,026,748 回。今(8:16)改めてチェックしたら56,075,872回。月曜の朝に1時間で約5万再生ですか。規格外だな。

2023年4月27日 (木)

俺のアニソン史 完結篇

BABYMETALの- Divine Attack - 神撃 -が配信された時は正に賛否両論で匿名掲示板あたりじゃ否定派の悪口雑言が飛び交ったけど、何より目に付いたのはこんなのアニソンじゃねえかという意見。確かに神撃はアニソンっぽい。でも俺なんかは一体アニソンの何が悪いんだと思ったし、むしろ日本が世界に誇る偉大な文化だから否定する意味が分からないってのが正直なところ。

で、思ったのは昨今のアニソンっぽさって何なんだろうって事。俺が思うに、良い意味でのごった煮ですかね。様々な音楽ジャンルの美味しいところだけ寄せ集めて形成された複合体。これが時に核融合を起こして強烈な突然変異体へ生まれ変わる。YOASOBIのアイドルなんかはその極み。

とは言えこれってアニソンに限った話じゃなく日本歌謡界、ひいてはJ-POPも正にその歴史だったと言える。書きそびれちゃったけど今月頭のベビメタ横浜公演後HUBで名無したちと飲んだ時に熱い音楽談義が繰り広げられ、一人の名無しが言ってた事が凄く印象深かった。曰く、海外だと人種やら民族やら宗教やらの問題でなかなか実践出来ない冒険も日本人はしがらみが一切ないから簡単に出来てしまう。それが功を奏して日本歌謡やJ-POPやアニソンは独自の進化を遂げたのではないかと。

確かに加の国では白人がブルースやゴスペルを歌えば一部から叩かれるし逆もまた然り。でも日本じゃそんなの関係ないし、これ面白いからいただき!って感じで抵抗なくあれもこれも取り込めちゃう。更に視聴率と直接関係のないアニメ主題歌は冒険し易い・・つーか容認されちゃう。結果、出来上がった実験的作品が放つある種のオーラが現在のアニソンらしさの根幹だと俺は思ってる。

そういった傾向がより色濃くなった時期が何時頃かは俺みたいな素人でもすぐ分かる。ボーカロイド初音ミクが登場した2007年ですよ。才能はあるけど金がない、更にコミュ力も低い引きこもりがちのコンポーザーたちがこの武器を手に入れた事で音楽業界に革命が起きた。オケは気の利いた音楽作成ソフトで、ボーカルは初音ミクで、発表の場はニコ動やYouTubeでいい。金はなくとも時間をかけて練り上げ精度を高め公開した作品が優れていればバズって世間の注目を集め、業界も活性化する。正にwinwin。supercellのryoさんもYOASOBIのAyaseさんもその流れに乗って大成した人たちだし、初音ミクを開発した人はこんな未来が想像出来ただろうか。

アイドルみたいな飛び道具もあれば炎みたいな正統派もあり、大御所のタイアップ路線も未だ健在だし幼少年をターゲットにした昔ながらの大道もある。アニソン界も多様化して今まで以上に面白くなった。話題作しか観ないというスタンスは変えるつもりないけど今後どうなっていくか興味津々なのでその動向を見守っていこうと思う。

2023年4月26日 (水)

俺のアニソン史 その3

YAWARA!の放映が終了した1992年から暫くアニメと無縁の生活を送り、久々に観たのが友人に薦められた新世紀エヴァンゲリオン(1995)。実際に観たのは97年頃だから約5年のブランクですか。その間に放映された人気作をちょっと掘り下げてみると美少女戦士セーラームーン、幽遊白書(共に1992)、スラムダンク(1993)辺り。あと、ちびまる子ちゃん放映開始もこの時期か。ちょいちょい観てたけど、おどるポンポコリンはアニソン界の金字塔だよね。他3作は全く観た事ないので何も語れず。

で、EVAだけど主題歌の詞が作品の世界観と直接関係しない傾向は80年代後半から何も変わってないんだなと思わされた。残酷な天使のテーゼや魂のルフランは名曲だと思うけど(パチンカスにとっては尚更)。但しこれは当時のガイナックス作品全般に言える事だしヱヴァンゲリヲン新劇場版でも同じだから、ひょっとしたら庵野監督の意向かもしれない。

EVAには結構ハマったけどそこから裾野が広がらず、過去の庵野作品を少し掘り下げただけでまたアニメから離れてしまう。観た覚えがある作品と言えばデ・ジ・キャラット(1999-2001)だけ。ブリブリの可愛い系キャラなのにシュール系ギャグマンガをリスペクトしてるという妙なギャップがツボに来た。でもショートショートだから主題歌はあってなきが如し。

【追記】
今ちょっと調べたら令和のデ・ジ・キャラットなんてのがあるのか。しかも声優さんがオリジナルと一緒。これは凄え。あとで観なくちゃ。

そこからけいおん!(2009)まで飛んじゃうのか。これも詞の内容と作品の世界観は関係がない。この傾向はなかなかに根強いな。但し登場人物たちが軽音部で奏でる楽曲というコンセプトだからこれはこれで良いのかもしれない。ただ、この辺になると声優さんが主題歌も担当するパターンが主流になったんだなと。全然観てないので詳しくは知らないけどマクロスシリーズがそのスタイルで人気を博したらしいから、それが業界の新機軸になったのかも。

ちょっと京アニ作品のクオリティにやられて過去作を掘り下げたのがこの時期で、涼宮ハルヒの憂鬱(2006)とかも観たけど主題歌の傾向は似たり寄ったり。まだ詞の内容と作品の世界観は切り離された物が多く一抹の寂しさを感じる。

そして話は一気に現代へ進むけど鬼滅の刃 無限列車編(2020)の主題歌、LiSAさんの炎を聴いた時に長年引きずっていたフラストレーションから一気に解放された。この詞、作品の世界に寄り添ってる。それどころか作品の一部になってる。そこに強い既視感を覚えたのだが解答はすぐ導き出された。これ、ジュリーのヤマトより愛をこめてじゃないか。嗚呼、40年近い時間を経て360度どころか720度回ってアニソンはここへ戻ってきたんだなと。

勿論、その傾向は炎から始まった話じゃない。紅蓮華だって作品に寄り添った詞だし、呪術廻戦(2020)の廻廻奇譚もSPYxFAMILY(2022)のミックスナッツもしっかり作品の世界観をモチーフにしてる。じゃあこの復活劇はどの辺から始まったのか、それを解き明かす為に時系列で辿っていく。

繰り返し書いてる通り、俺は気になった話題作しか観ないのでその少ない引き出しから答えを探す。まず化物語(2010)。エンディングテーマ、君の知らない物語は大好きな歌だけど詞の内容が作品の世界観と合致してない。ひたぎと羽川の事を描いてるという解釈もあるみたいだが眉唾だなあ。もしそうだとしても俺にはそう感じられない。

次に魔法少女まどかマギカ(2011)。これも小洒落たJ-POPって感じで詞と世界観が合致しない。ガールズ&パンツァー(2012)も全話観たけど主題歌が全く思い出せずYouTubeで確認したら似たような印象だったな。で、ラブライブ!(2013-2014)。これもちょっと記憶が曖昧だったからYouTubeでオープニングを観返す。あっ!これは詞と作品の世界観が寄り添い合ってる!! そんな訳で2013年辺りから始まったのではないかと邪推。

なんかもう長過ぎて自分でも呆れるけど次回、昨今のアニソンの巧妙な曲展開について熱く語ってこの連載は終わりにする予定。

つづく・・

俺のアニソン史 その2

アニメ界にタイアップ曲が蔓延する少し前から歌詞にタイトルとキャラの名前が出て来ない傾向が見受けられ始める。それがどの時期からなのか探ろうとした場合、非常に都合が良いのはSFロボット路線だったり。当時俺も熱を上げて結構な数の作品を追いかけてたから分かり易いって事もあったりして。

ジャンルとしての転機は機動戦士ガンダム(1979)だけどまだ歌詞にガンダムの名前が連呼されてますね。続く伝説巨神イデオン(1980)も傾向は一緒。富野作品で言えば戦闘メカザブングル、聖戦士ダンバイン(共に1983)、までは同じスタンス。これが重戦機エルガイム(1984)辺りから崩れ始め、Zガンダム(1985)で完全に崩壊する。

富野作品から少し離れ、ブームを牽引したもう一人の巨匠高橋良輔監督の作品に目を向けると太陽の牙ダグラム(1981)は歌詞にタイトルが含まれてて、装甲騎兵ボトムズ(1983)で消え去る。俺の知る限りSFロボットアニメの主題歌からタイトル名が消えたのはこれが業界初じゃないかな。

丁度この時期、その傾向を決定付ける1曲のアニソンが登場。杏里のキャッツアイ(1983)ね。申し訳程度に作品名は出てくるけど詞の内容がほぼ作品と関係ない。アニメ主題歌っぽくないというか、普通にJ-POPとして成り立ってる。これがまた大ヒットした事で業界全体がそっち方向へ傾き始め、SFロボット物に反映された最初の例がボトムズって事になるのでは。

とは言えどの作品にも人気のアーティストを引っ張ってこられる潤沢な予算があった訳じゃないから、ちょっと小洒落た曲を何処かで聴いた事があるような声の無名歌手に歌わせちゃうというスタンスが主流。暫くはそんなアニソンが台頭し、シティハンター(1987)エンディングテーマ、TM NETWORKのGet Wildが決定打となりタイアップ曲が業界の常識みたいになる。以後、話題作(特にマンガ原作アニメ)の主題歌は例外なくタイアップで、詞の内容も作品とかけ離れた物ばかり。ヒットチャートは賑わすもののアニヲタ的に面白くない傾向が長期に渡って継続される。

そういう意味じゃTM NETWORKはかなり罪深い事をしたなと。いや、良い曲だと思いますよGet Wild。当時のヲタどもが熱狂したエンディングの流れ(物語のエピローグからイントロが食い気味に流れ始めてEDクレジットへ突入する)もカッコいいと思ったし。ただ、業界全体がこれに右へ習えしちゃったのがね、ちょっとまずいんじゃないかな~と思わされたり。

勿論、全部が全部タイアップ曲って事はなく、別路線で昔ながらの主題歌もちゃんと作られてた。宮崎御代のトトロ(1988)なんか言わずもがなだし。で、この辺りで俺もアニメに飽きちゃって暫く観ない時期が続いたからそこから先の事はよく知らない。ただYAWARA!(1989)は原作が好きだったから何となくアニメ作品も観てたけど正にタイアップ曲の応酬って感じだったな。

つづく・・

花澤香菜 - 君の知らない物語 from CrosSing

その2を書く前にYouTubeでアニソンに関する情報収集をしてたら弾き出されたこの動画へリンク貼っちゃう。

のっちのマブダチ甘露寺さんが歌う君の知らない物語だ。ここは千石撫子と言うべきなんだろうが俺的にはどっちでもいい。しかし化物語って2010年の作品なのか。俺にとっちゃ昨日みたいな感覚なのだが・・

俺のアニソン史 その1

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もうこの曲のフレーズが寝ても覚めても頭から離れず、遂にダウンロードしてしまった。MVならYouTubeで何時でも何処でも観られるけど車移動中とかにも曲単体で聴きたかったんで。当たり前だがYouTubeより断然音質が良い・・つーか奥行きが感じられる。まあ無料配信動画はビットレート下げてるからね。本来のクオリティで堪能したかったら金払えって事ですよ。たった255円をケチっちゃダメダメ。

で、これを繰り返し聴いてたら何となくアニソンの歴史を俺なりに熱く語りたくなってきた。とは言え何度も書いてる通り俺はさほどアニメに対する造詣が深くないので相当偏った話になるし無知も露呈されます。それを含め面白がってくれる方にだけお付き合い願えればと。

アニソンの歴史をザックリ3分割するとマンガ主題歌期、タイアップ全盛期、そして現在進行中のネオアニソン期と俺は思ってる。気になるのはタイアップ全盛期から現在のスタイルへ移行したのが一体いつ頃か。それを探る話が中心になっていく。

まずマンガ主題歌期。ここでは鉄腕アトム(1963)をスタート地点と定めるけど同時期に作られた鉄人28号にせよエイトマンにせよ歌詞に必ず作品名か主人公の名前が登場する。歌で作品を強く印象付けるという真っ当な経済学的手法ですね。この傾向が長らく続くけど、そこに一石を投じたのがジャングル大帝(1965)とリボンの騎士(1967)。歌と言うよりは交響楽で、歌詞以上に曲そのもので壮大なイメージを視聴者へ印象付ける。まあこれはディスニー作品リスペクトという要素が大きいとは思うけど。

70年代に入ると歌詞に作品名も主人公の名前も登場しないアニソンが登場。代表格はあしたのジョー(1970)ですか。内容的にはジョーと力石の関係性を描いてるし明日はどっちだという詞も含まれてはいるものの作品名は登場しない。別分野の文化人(寺山修司さん)が作詞した事で新風が吹き込まれた感はありますね。

ほぼ同時期の革命的なアニソンが初代ルパン三世(1971)。ルパーンルパーンルパーンルパーン ジャンジャン ルパンズゥスーウッドの連続でガキには何歌ってるのか全然分かんない。なんつーかもう印象が全てで作り手が何かを明確に伝えようと思ってなさげ。逆にそれが新鮮で分からないながらもよく口ずさんだりしたもんだけど、あまりにも時代を先取りし過ぎて大衆には全く受け入れられず番組打ち切りの憂き目に遭う。主題歌だけのせいじゃないが。

その後も尖った主題歌のアニメが幾つか登場するものの主流は相変わらず作品名やキャラの名前が登場する曲。そうこうするうち宇宙戦艦ヤマト再評価に端を発する第二次アニメブームの大波が押し寄せ、そこに登場した2曲のアニソンが歴史を大きく変える。ジュリーのヤマトより愛をこめて(1978)とゴダイゴの銀河鉄道999(1979)ね。それ以前もアニメとは無縁の歌手を引っ張ってきた例はあったと思うが、当時絶大な人気を誇った第一線のスターがアニメ主題歌を担当した例はなく、更に言えばマンガ映画の主題歌がレコード売上げランキング1位をさらってしまったんだから、これはもう音楽業界がひっくり返るほどの衝撃だった筈。

以後、劇場用アニメ作品なんかでは時のスターが主題歌を歌うパターンも増え、その流れはテレビアニメへ飛び火していき、80年代に入ると妙な方向へ舵が切られていく。タイアップ全盛期の到来ですわ。

思ってた以上に長くなったので1度切ります。

つづく・・

2023年4月24日 (月)

推しの子

アマプラで推しの子の1.2話が観られる事に気付いて夕方から観始める。途中で切り上げ高田馬場のスポーツクラブへ行くつもりだったのだが止められない止まらない状態になっちゃって一気見。で、観終えたタイミングでTwitterをチェックするとYOASOBIのTikTok LIVE配信中だってんで覗いてみたら丁度トリのアイドルやっててそれだけ生で観られた。これが神の思し召しという奴か。

なるほど、確かに作品に触れてから改めて聴くと捉え方が全然違ってくる。そもそもAyaseさんは推しの子の愛読者で原作を熟読してるという話だから歌詞にキャラの名前をちりばめたり世界観を反映させてたり。そういう点でも凄く巧妙な作りの曲なんだな。

アニメ作品も凄く良かった。途中からiPadでの電車移動中鑑賞に切り替えようかと思ったが、ところどころで涙腺を刺激されるので止めといて正解だった。それと1.2話すっ飛ばして3話から観始めなくて大正解。これ、EVAの時が同パターンだったんだけど第参話の鳴らない電話から観始めたらもう何が何やらでチンプンカンプン。推しの子も正にそれで、俺と同じ境遇の貴兄には途中から観るのだけは止めた方が賢明と言っておきましょう。ヒッチコック監督が禁止したサイコの途中入場と同じ羽目に陥りますぜ。

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